「世界一美しい等式」とは、オイラーの等式、
のことです。ネイピア数の
Excel関数で
と無限に続く正の数で、 ゲルフォントの定数と呼ばれているようです。いずれにしても、これで式
さて、虚数が登場したときはおそらく
では、虚数
中学三年生のときに習う二次方程式は、
という形をしています。この等式を満たす
ここで、
になります。二次方程式の解の公式
となります。二乗して
図1
軸と交わらない のグラフ
となり、確かに
と書けます。これを式
という実数と虚数が組み合わさった形をしています。式
図2
二次方程式 のふたつの解。横軸が実数、縦軸が虚数。
のように二か所にあることが目で見えるようになります。
実数軸と虚数軸に慣れるために、他のパターンもみておきましょう。
図3は
図3
x軸と交わる のグラフと の解
図4は
図4
x軸と交わらない のグラフと の解
ここで注意すべきは、二次方程式のふたつの解は実数軸と虚数軸の単なる座標ではなく、実数軸に沿って動くベクトルと、虚数軸に沿って動くベクトルを足し合わせたベクトルだということです。
最初の二次方程式
図5
二次方程式 のふたつの解は、実数軸をマイナス方向に 、虚数軸を に動く
ふたつのベクトルを足し合わせたベクトルであって、単なる座標ではありません。
さて、ここでさらに発想の転換をします。この二次方程式のふたつの解を実軸と虚軸からの距離で特定するのではなく、実軸からの回転角度
図6
回転角度と原点からの距離による特定
二次方程式 の二つの解は、時計の針を3時の位置から反対方向に、120°と240°に回したところにあります。
角度といえばすぐに三角形が思い浮かびます。二等辺三角形の垂直の辺(高さ)を斜めの辺で割ったものがサイン、水平の辺(底辺)を斜めの辺で割ったものがコサインでした。三つの辺の長さは時計の針の角度によってさまざまに変化します。3時と9時の位置では垂直の辺(高さ)がなくなるのでサインはゼロ、12時と6時の位置では水平の辺(底辺)がなくなるのでコサインはゼロになります。
図7
がサイン、 がコサイン
サインは三時と九時の位置( ) でゼロとなり、コサインは零時と六時の位置 ( ) でゼロになります。
この二次方程式のふたつの解
の二か所です。
ここで、たいへん重要なことに気が付きます。
となると、次にやるべきことは、サイン、コサイン(三角関数)をネイピア数
そこで、
のように
となります。
となり、
つまり、
階乗の記号
と少しすっきりします。同じ操作をコサインに対しても行うと、
になります。これで、サインとコサインを多項式で表すことができたので、これらを式
展開して整理すると、
となります。これまでやったように微分を何度も繰り返したら極めてシンプルかつ規則正しい式
と多項式に展開し、
つまり、a_{0}=1です。次に、式
つまり、
つまり、
この操作を何度も繰り返して整理すると、
となります。ここで
となり、右辺が式
が成り立ちます。
となり、冒頭で紹介したオイラーの等式になります。
少し長い道のりでしたが、これで「世界一美しい等式」を導出することができました。
これまでの過程の中で、最大のポイントは図6~7だと私は思います。実数と虚数の組み合わせベクトルが単位円をぐるぐる回転する、その回転の途中にベクトルが
おわり
<追記>
もっと直感的に
これなら、回転や微分を持ち出すまでもなく、なんとなくそうかなあ・・・という気がしてきませんか?見た目の美しさは今一つですが。
記事一覧へ戻る