戦略ポジショニング ー競争優位戦略の事例紹介ー

液体輸送容器の成功事例

1000ℓ容量の液体輸送容器は食品や化粧品業界を中心に製品の工場間輸送や工場内の一次貯蔵容器として使用されています。容量的に一斗缶(18ℓ)やドラム缶とローリー車の中間に位置することtから一般に IBC (Intermediate Bulk Container) と呼ばれています。

構造的にはタンクに直接充填するタイプと使い捨ての内袋(ライナー)に充填するタイプの二種類があります。タンク式は使用の都度洗浄する必要があり、分解することができないため輸送コストも高く、保管スペースも必要です。

一方、使い捨てのライナー式は洗浄が不要で、使用後に外容器を折り畳むことができますので、輸送·保管コストも最小限に抑えることができます。そこにレンタルという新しい販売方法を導入したのがS社です。参入当初はそのメリットが市場になかなか理解されませんでしたが、徐々にその合理性と利便性が受け入れられるようになります。 ライナー式のレンタルIBCという新しい市場セグメントの誕生です。

ここに参入するためには折り畳み式の外容器と内袋という異質な「ハード」の組み合わせと、レンタルという「ソフトとインフラ」が必要です。このポジショニングの確立が競争相手のいない急成長と高い利益率の維持につながります(ポジショニングA)。

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競争優位に永続性はありません。左下のセルからチャレンジャーが表れます。そこでもう一度新たな軸を導入して競争優位を生み出せるポジショニングを行います。最寄りのデポで借りたり返したりできる片道レンタルの全国展開、無菌的に充填排出できるシステムや高粘度物を絞り出せる装置など、幅広いソリューションの提供という新たな軸でセルを分割することで競争優位を産み出します。(ポジショニングB)。

自社を他社と切り離し、市場の中でいかに「キラリ!」と輝ける存在にするか、が鍵となります。競争優位のポジショニングは価格主導権を握れるため高い利益率を長年に渡り確保することができます。

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