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MBAに最低コストでチャレンジしたい方々への実例アドバイス

はじめに

ちょうど20年前の2000年、ミレニアム記念として何かにチャレンジしたいと漠然と考えていた矢先、電車の吊り広告でにたまたま目に飛び込んできた”MBA”の文字。記事の内容は忘れましたが、その瞬間に、「これだ!」と思い立ったことだけは今も鮮明に覚えています。しかしながら、当時は勤務先で立ち上げたばかりの事業の責任者でしたし、妻と三人の子供(小学生と幼稚園児)という家族を置いて単身留学するという気持ちも経済的余裕もありませんでした。

その後のリサーチでグロービスというビジネス・スクールに英国立レスター大学と組んだ遠隔学習MBAコースがあることが分かりました。一年間グロービスで日本語で学んだ後、二年次にレスター大学の遠隔プログラムに進んで、英語でレポート、修士論文を書くというものでした。私はだめもとでレスター大学から直接願書を取り寄せてみようと思いダイレクト・メールを送ったところ、あっさりと願書が送られてきました。実は同大学のビジネス・スクールULSB (University of Leicester School of Business)は1989年に、世界ではじめてMBA協会(AMBA)から認定を受けた遠隔学習(Distance Learning)のパイオニアだったのです。私が入学した2001年1月時点の履修者は866名(男性581名、女性285名)、国籍数は75でした。2020年現在、学位取得者は累計12,000人に達しているまさにグローバルなプログラムです。

以下に、MBAにチャレンジすべきかどうか思案されている方々を対象に、少しでもそのハードルを下げるべく実例をあげながらMBA取得までの道のりを時系列で解説いたします。

  • 願書と必要書類の提出 

まずULSB(当時はULMC = University of Leicester Management Centre)から最初に送られてきたレター(資料A)をご紹介します。

(資料A)

日本人がMBAに挑戦するときに最も高いハードルのひとつが語学力ですが、その基準が案内パンフレット(資料B)の English Language の欄に記載されています。三つの基準のうちどれかひとつをクリアする必要があります。私の場合、TOEICは何度か受験しましたが、IELTSもTOEFLも受験したことがなく、慌てて受けたTOEFLも点数が基準に届かなかったため三つ目に記載されているレスター大学独自の英語テストを受験するようにと指示がありました。テスト会場はグロービスでした。TOEFLに比べると回答しやすく時間もさほどかかりませんでした。TOEICは留学時の英語力の審査対象にならないことが多いので注意が必要です。

(資料B)

次に、願書の内容を具体的にご紹介します。資料C~Eをご覧ください。推薦状については大学のゼミ(国際法)の教授がすでに亡くなれていたので、会社の上司(本社と出向先の上司)にお願いしました。お二人とも原稿を書いてくれたら署名するということでしたので、本社の上司には入社後のキャリア、出向先の上司には出向先でのミッションを中心にした内容にしました。

(資料C)

願書送付時のカバーリング・レター

(資料D)

当時の願書(所定フォームに手書き入力)

   

 

(資料E)推薦状二通

 

  • 学費

次に語学力とともにもっとも関心が高いと思われる学費についてです。当時のMBA Distance Learningは一括払いで6,400ポンド(当時のレートで約100万円)でした。私は初回1,600ポンド(26万円)、その後800ポンド(13万円)をクレジットカードで六回支払いました。毎回、領収書とクレジットカード伝票が郵送されてきます(資料F)。

(資料F)クレジットカートによる支払い履歴と領収書

 

ちなみに、2020年5月現在の授業料は同スクールのウェブサイトによれば 16,285 ポンド(約2.2百万円)です。20年前にくらべると当然値上がりはしていますが、第三者を経由せずに直接入学することがコストをミニマイズする方法であることは変わらないと思います。

  • コースの概要とアサインメント

コースの構成は(資料G)をご覧ください。基礎学科 ⇒ 筆記試験 ⇒ 統合学科 ⇒ 筆記試験 ⇒ 選択学科と続き、学位論文案の審査を経て最後に学位論文を提出します。

(資料G) MBA Course Structure

  

スケジュール表(資料H)の通りに進めば最短二年で学位が取れますが、私の場合は三年かかりました。

(資料H)Assignment Due Dates

   

各学科は基本的にはテキストや副読本で学習した理論の理解度がアサインメント(レポート)によって確認されるという流れです。以下はアサインメントの実例です。

Competitor Analysis & Strategic Choice

Choose your own company, or a company of your choice and based on your understanding of that company, assess the competitive environment within which it operates.

(Hint: use Porter’s 5 forces framework supplemented by whatever analysis you thing to be valuable).

Word count: 3000 and 3,500 words

実際に提出したアサインメント

 (資料I)

アサインメント:ULSB の処理期間(受領から評価結果発送まで)

Introduction to Management/People & Organizations : 2001/4/3 ~ 2001/5/11   

Accounting for Managers  : 2001/7/5 ~ 2001/7/16

Strategic Marketing : 2001/7/5 ~ 2001/9/12

Strategic Decision Making : 2001/10/13 ~ 2001.12.6

Leadership, Entrepreneurship and Change Management : 2002/1/10 ~ 2001/1/21

Competitor Analysis & Strategic Choice : 2002/4/5 ~ 2001/5/16

Global and Growth Strategies : 2002/7/15 ~ 2002/8/2

Strategic Financial Management : 2002/7/15 ~ 2002/8/23

E-Business : No records available

A Managerial Perspective of Electronic Commerce : No records available

Project Proposal : 2002/12/29 ~ 2003/2/6

Final Project : 2004/4/22 ~ 2004/4/30

(資料J)がアサインメントの評価結果と評価者のコメント、アドバイスです。

(資料J)

  • 筆記試験

筆記試験は基本学科と統合学科の終了時に行われます。場所は英国領事館でした。私自身はここではじめて他の日本人学習者に会いました。設問(英語)は三つくらいでそれまでに学習した経営理論の基本が身に付いているかどうかをケースで確認する内容でした。試験時間は二時間、テキストや福読書の持ち込みはできません。

(資料K)は一回目の筆記試験の申込書と結果通知書です。

(資料K)

  

  • 学位論文

二回目の筆記試験をパスし、選択科目(二教科)を終了したらいよいよ学位論文への取り組みを開始します。但し、いきなり論文を書き始めるのではなく、まずはどのようなテーマに取り組みたいのかを考えてまとめます(Project Proposal)。これ自体も評価の対象になります。私の場合、当時の出向先が属す業界において、「ポーターの三つの基本戦略理論が成り立っているかを検証したい」としたところ、特定の業界にフォーカスしている点はよいが、研究目的をさらに絞り込むべし。」というアドバイスがありました。よって、学位論文では、「同業界において持続的な競争力を得るためにどのような差別化戦略の構築すればよいか」をテーマにしました。

(資料L)Project Proposal と Final Project(学位論文)

最終論文に対してはコメントは付されず評価結果のみが送られてきます(資料M)。

(資料M)

私の場合、今から思えば、既存理論に基づく解析や戦略構築にとどまっていました。もし、Aランクを目指すのであれば、それらをベースにして新しい理論を構築するなど、よりクリエイティブに展開すべきであったと思います。

こうして、願書の取り寄せから四年、受講開始から三年後に学位を取得することができました。(資料N)が学位を授与する旨の通知書と学業成績書です。提出先用としてコースの構成・概要がまとめられた資料(資料G)も同封されていました。

(資料N)学位授与通知書と学業成績証明書

   

おわりに

学位授与式(Degree Congregation 2004)ではじめてレスター大学のキャンパスに足を踏み入れました。緑の多い素晴らしいキャンパス、仲良く会話をしたり、角帽を投げ上げて喜んだりしている同期生の様子を見ながら、リアルな授業を受けていればあの中にいたのだろうな、と少し羨ましい気がしました。そのときにとった写真がこれです。

みなさんのご検討をお祈りしています!

 

Degree Congregation

Wednesday 14th July 2004 at 3pm

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