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新型コロナウィルス感染症収束予測の検証(アップデート中)

2020年4月16日付のブログ「外出自粛は新型コロナ・ウィルス感染症の収束を速めるか?」と2020年11月22日付ブログ新型コロナ・ウィルス感染者数が波打つ理由」で解析した複数合成波で今後の感染者数を予測しています。図1の青色のドットは厚生労働省のホームページで公表されている国内感染者数を週別に集計したものです。青色の実線は2021年12月までの各変異種の合成波です。

2021年12月の後半に入り、漸減傾向にあった感染者数は増加に転じたようです。海外では変異種であるオミクロン株に感染するひとが急増しており、日本にもその影響が波及しています。2021年1月2日に今後の感染者数の予測を以下のふたつのシナリオで行いました。

シナリオ a :これまでの変異種の平均的な感染力とする場合 → オレンジの破線

シナリオ b:これまでに最も感染力が強かった第11種と同等とする場合 → グレーの破線

変異種の出現に関する数理的考察は、2021年8月18日付のブログ「新型コロナウィルス変異種の存在を説明する数理モデル – 逃げる抗原、追いかける抗体」をご覧ください。

図1

新型コロナ・ウィルスの感染者数(単位:千人)

破線が各変異種の感染者数、実線が合成波

シナリオ a(オレンジの破線) : 感染係数 b = 0.073, 治癒係数 c = 0.81
シナリオ b(グレーの破線): 感染係数 b = 0.190, 治癒係数 c = 2.50
2022年1月16日現在

 

<収束予測を計算するための数理論>

感染する可能性のある人の数を $x$(以下、未感染者)、感染していて他人にうつす可能性のある人の数を $y$(以下、感染者)としたときに、それぞれの変化率は以下の微分方程式に従うとして予測しています。(注意:「未感染者」には、感染者との接触を避けている、感染しないようにしている、ひとは含まれません。詳しくは 2020年4月16日付ブログ「外出自粛は新型コロナ・ウィルス感染症の収束を速めるか?」と2020年11月22日付ブログ新型コロナ・ウィルス感染者数が波打つ理由」をご覧ください。

$$\frac{dx}{dt}=-bxy\tag{1}$$

$$\frac{dy}{dt}=bxy-cy\tag{2}$$

式 $(1)$ は未感染者が感染者と接触して減少すること、式 $(2)$ は、その結果感染者数が増加する一方で、治癒したり、亡くなったりして感染者ではなくなること、を表しています。係数の $b$ は「感染係数」、$c$ は「治癒係数」です。合成波(青色の実線)を構成する各波(破線)の係数は以下のとおりです。

表1

 

一方、図1より合成波(青色の実線)は頂点→谷底→頂点と過去五回に渡って推移していることがわかります。今、我々が最も知りたいことは最新の谷底から次の頂点までの時間です。図2をご覧ください。平均でおよそ12週要していることがわかります。最新の谷底は2021年11月22日の週ですので、この平均を適用すると次の頂点は2022年2月14日の週となります。これを上記の数値計算の結果(図1のグレーとオレンジの破線の頂点)とほぼ一致しています。

図2

最も短かったのが一番目の合成波①の谷底から次の頂点②の8週、
最も長かったのが二番目の谷底②から次の頂点③の17週で、平均は11.8週。

 

以下は、厚労省ホームページ、報道関連資料から集計しグラフ化したものです。ご参考まで。

図3

PCR検査数、陽性者数、死亡者数の累計(対数軸)

2022年1月16日現在

図4

PCR検査陽性率と陽性者死亡率の週別推移

2022年1月16日現在

図5

新型コロナウイルスによる死亡者数の月別推移

2022年1月16日現在

100年前に流行したスペイン風邪と比較すると変異種の数が多く、その出現間隔が狭いのが分かります。

<比較資料>

1918~1921年に大流行したスペイン風邪の死亡者数月別推移

東京都健康安全研究センター 年報56、2005

 

新型コロナウィルスと比べると変異種の数が少なく、出現間隔が広いことがわかります。同年報の表2より「スペイン風邪による感染者数は2,380万人、死亡者数39万人」ですので、感染者数で新型コロナウィルス(2022年1月現在)の14倍、死亡者数は21倍です(上のグラフの縦軸がその上の新型コロナウィルスと一桁違うことにご注意ください!)。インフルエンザの特長として「流行時期によりウイルスが変異することが往々にして観測される.スペインかぜ流行の際にも原因ウイルスが変異し,その結果として死亡率が大幅に増加したものと考えることができる.」と述べられており、さらには「今後のインフルエンザ対策を企画立案する際には,「再燃」について十分配慮していくとともに,インフルエンザウイルスの抗原性を経時的に観測していき,ウイルスの変異にすばやく対処することがぜひとも必要である.ウイルス変異を早期に検出できれば,新型インフルエンザの流行を未然に防ぐことも可能になるものと考える.」と、変異とその対応への重要性が指摘されています。

以上

 

 

 

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