2021年5月6日付のブログ でいろいろな成長のパターンを計算する方法をご紹介しましたが、その中に「S字カーブ成長」がありました。成長率が時間経過とともに、小→大→小と変化する成長です。売上を
式
図1
x0=1.0, r=0.05, K=100 のときのロジスティック成長
ではここで具体的な事例をみましょう。図2は自動車検査登録情報協会から発表されている日本のエコカー(ハイブリッド車+電気自動車)の保有台数の推移です。
図2
図1と比較するとおおよそ下半分が経過したようにもみえますので、ここにロジスティック曲線を重ね合わせます(図3)。
図3
x0=4,066台(1998年), r=0.455, 0.440, 0.420, K=10.5百万台、11.7百万台、13.0百万台 のときのロジスティック成長
三通りのロジスティック曲線を書き込みました。式
そこで、成長の予測モデルをロジスティック型からロケット型に( 2022年9月24日付ブログ)に変更してみましょう。ロケット型はその推進力が途絶えな限り飛び続けるのが特長です。
ニュートンは、質量
質量
と書けます。よって、
変形して、
ここで、ロケットを事業に置き換えると、
図4
成長x: a=5,000, k=0.01, m=100,000
成長y: a=50,000, k=0.01, m=100,000
成長xと成長yの違いは加速度
図5
成長x+ y: a=5,000(1998~2007), a=50,000(2008~)k=0.01, m=100,000
二段ロケットにすることで過去の成長推移を見事にトレースすることができました。
ところで、式
となります。ここで、
ちなみに、 式
変形すると、
成長 x と成長 Y の到達速度
成長 x の到達速度 Vx = 223,607
成長 y の到達速度 Vy = 1,072,381
成長 x + y の到達速度 Vx+y = 1,295,987
つまり、エコカーの年間増加数の上限はおよそ1.3百万台であることが分かります。ちなみに、2024年時点での年間増加数は1.1百万台で、エコカーの保有数は14百万台です。四輪車の総保有数をおよそ80百万台とすると普及率は14%です。10年後の2034年のエコカーの保有率は図5よりおよそ26百万台。人口減も鑑み、四輪車の総保有数は80百万台で横ばい、と仮定すれば、10年後のエコカーの普及率は三割を超えますが、その前に三段目のロケットが噴射してさらに普及が加速する可能性もありそうです。
おわり
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